全く知らない人が突然自宅に来て、家の中に上がり込もうとしたら、どう思うでしょうか?
誰でも不信感を抱きますし、恐怖を感じるものです。記憶障害や見当識障害がある認知症の人にとっては、何度も自宅に来ている看護師であっても、毎回“知らない人”だと感じてしまうことがあります。
このため、基本の対応としては毎回自己紹介をして、訪問の目的を説明することです。この利用者は、お金のことを心配されているようなので、「お金は必要ない」ということも付け加えるといいですね。
説明する際は、笑顔で相手の顔をしっかり見て話すようにしましょう。“認知症の〇〇さん”ではなく、一個人の“○○さん”という認識で接することがポイントです。
こうした対応を積み重ねることによって、利用者の方が安心感を抱き、受け入れてもらえる日がくるのではないでしょうか。
ケアマネジャーなど、本人が顔なじみの人と一緒に訪問することも一つの方法です。可能であれば、本人が安心感をもって受け入れられるようになるまで、同行を頼めるといいですね。同居しているご家族がいれば、同席してもらえるとよりいいでしょう。
もしかしたら、時間帯の影響もあるかもしれません。夕方は疲れが出て、記憶障害や見当識障害の症状がより強く出ることがあります。できれば午前中のうちに訪問するのが理想的です。ただし、朝早いと頭がボーっとするというタイプの方もいます。ご家族などに普段の様子をリサーチして、比較的調子がよさそうな時間帯に訪問できるといいですね。